オタワ国際アニメーション映画祭(3)

3日目はピクニックの日。映画祭参加者たちはほとんどどこかへ出かけて行った。自分はピクニックには行かず、町の散策と美術館に行くことにした。更に、エミリーカー大学のプレゼンテーションを観に行き、マーチンさんに挨拶。マーチンさんとはバンクーバーでの受け入れ先となっている方です。お互いに忙しく、なかなか会う時間が作れなかったため、オタワでの初体面となりました。





夜のコンペを観て外へ出ると、なんと雪が!寒かったなあ。
その後パーティーへ。


パーティーではなんと『ファミリーポートレイト』の原画をいただいてしまいました。実写を画用紙に印刷し、それをデフォルメさせながらなぞっていくという技法で作られたこの作品、原画にはうっすら実写を確認することが出来ます。



そして悪夢の4日目。

普段は夜にある短編コンペの公式上映、この日だけは昼と夜の2回。昼の回では和田君の作品が上映だった。全てビデオ上映の中一本だけフィルムだったこともあり、とても良かった。


コンペが終わり、慌てて車で少し離れたもう一つの美術館へ。ここで2度目の回顧上映。すでに上映は始まっていたため、上映終了まで外で和田君と無駄話。すると、劇場に入って行った奥さんが興奮気味に出てきて、「映写がおかしいから確認した方が良いよ!!」と言ってきた。


急いで劇場へ入ると、画面は真っ黒でほとんど何も映っていなかった。すぐに映画祭スタッフに申し出たがどうすることも出来ず・・・。

「上映後のスピーチで、現金で入場した人は返金してもらうように、と言うつもりだから申し出る人がいたら対応を頼む」とスタッフに伝えると、上からの許可がないと勝手なことは出来ないと答えてきた。それはそうだろう。しかし、許可を取っている時間はない。上映はもうすぐ終わり、そしたら観客は帰ってしまい、二度と会う事は出来ない。

作品が面白くなくてもそれは仕方がない。運が悪かったと思ってもらうしかない。しかし、今回ほどひどい状態での上映だった場合、返金はやむを得ないだろう。水族館に行ったらすべての水槽が苔だらけで魚が一匹も見えなかったという状態に近い。観客はお金だけではなく時間も無駄にしてしまっているのだ。

「上から許可が出なかったら俺が自腹で払うからスピーチさせろ」と言い、上映後のスピーチに臨んだ。


「今日は本当にありがとうございました。しかし、映写のトラブルがあり、とても見苦しいものとなっていましたことを謝りたいと思います。パスで入った方は、お時間があれば明日も上映があるので、良ければ来てください。現金で入場された方は受付で返金してもらってください。また、パスを持っているけど明日はこれないという方、希望者には作品集のDVDを特別にプレゼントしたいと思います。」


返金を求める方は一人もおらず、スピーチ後には何人かの人が来て嬉しそうにDVDを持って帰った。遠慮して「DVDはいらないよ、ただ、お礼が言いたくて来たんだよ」と話しかけてくれる人もたくさんいた。悪夢のような出来事だったが、最後には観客に救われた。

その後すぐにプロジェクターの設定をチェック。見るとコントラストが一番強く設定されている。いったい誰がどうしてこんな設定にしたのか。時間をかけて出来る範囲の状態まで直した。スタッフ曰く、ここのプロジェクターはとても悪いものだけど、劇場に着いてるものだから変えることが出来ないんだそう。それにしたってどうしてあの設定…。


どっと疲れて休んでいると、次のプログラムのために土居君がやってきた。自分たちの後じゃなかったら土居君はあの状態をどう乗り越えたんだろう。上映の途中でプロジェクターがおかしいから一回止めてくれと言えただろうか。

日本の特集プログラムは結構楽しめた。最後の『おこんじょうるり』でまたしても涙。しかし、会場からは笑い声も起きていた。このニュアンスは伝わりづらいだろうなあ。


メイン会場に戻り、短編コンペを観て、この日はその後ハードロックカフェでのパーティー。毎晩なにかしらある。ここでもアメリカからきているという日本人と韓国人の女の子に話しかけられた。ピクニックでもずっと探してくれていたらしい。マルコさんにも再開した。


つづく