ザグレブ日記⑤

6月4日

この日、映画祭参加者たちは朝からピクニックに出かけていった。僕はバスに乗るのが嫌なので欠席し、朝食後、もう一眠りしたあと洗濯。昼からフレデリック・バックさんのプログラムを観た。通してみると、改めて一貫したテーマやモチーフで撮り続けていることがよくわかる。

その後、町を散策。ストリートパフォーマンスの国際フェスティバルが開催中だったため、町中で行われているバンドの演奏や大道芸などを楽しんだ。大道芸人の客の心を引き付けていくテクニックに唸らされた。実際に芸を披露している時間よりも、実は客をいじって沸かせている時間の方が圧倒的に長い。言葉を使わなくてもこんなに豊かなコミュニケーションが出来るものなんだな。


フェスティバルオフィスに行ってみると、なぜかカウンターに『HAND SOAP』のチラシが飾ってあった。嬉しいなあ。


ピクニックから帰ってきた和田君に、ピクニック中、山村さんの誕生日会があったことを知らされた。どうやらサイン集めを始めた事がきっかけとなり、映画祭側にも山村さんの誕生日が今日だという事が伝わったらしく、急遽、ケーキを用意したみたいだ。
朝、エレベーターの中でいきなりパルンさんが山村さんにお誕生日おめでとうと声をかけたらしい。シークレットだって言ったのになあ・・・。そしらぬ顔して、突然、集めたサインとケーキを渡そうと思っていたのに、残念だ。和田君たちは僕に気を使い、サインの存在だけは隠し通したらしい。僕がピクニックに参加さえしていれば、その場でサインを渡せて全てが上手くいったともいえるので、逆に申し訳ない気持ちになった。

夕方和田君の上映。受けてなかったなあ。ここのフィルム上映は少し暗く、ぼやっとしていたため、ただでさえ淡い和田君の作品はあまり良い上映とはいえなかった。それにしても、もうちょっと笑いが起こると思ったんだけどなあ。ざまあみろだ。


夜のコンペではウロ・ピッコフさんと中国人の2人。ウロさん、可愛い嫁さんを連れて来てた。「広島で話しかけたことがあります」と言うと、「覚えてるよ」と言われてとても驚いた。そうとわかっていれば、もっと前から話しかけていたのに。嫌ってると思われてもおかしくないくらい素通りしてしまっていた・・・。



藝大の藤幡さんが合流し、コンペ4を観た後お食事。イランさんオススメのミートボールを食べた。うまかったー。やっとの事で山村さんにサインをお渡しした。お誕生日という事と今回お世話になったお礼として、僕と水江君と和田君でここの支払いをもつつもりだったが、藤幡さんがたくさん出してくれたため、それほど払わずにすんでしまった。藤幡さん、ごちそうさまでした!!